このサイトで扱うのは、スーパーで買える1,000〜2,000円台のワインです。
今回はそこから外れます。税込5,159円。 これまで飲んだなかで一番高い1本です。

なぜ書くのか、先に説明させてください。比べる相手がいないと、1,000円台の評価が言葉にならないからです。
「このワインは1,380円にしてはいい」と書くとき、わたしたちは頭のどこかで何かと比べています。その「何か」を一度はっきりさせておきたかった。それだけの理由です。
1. 店頭のワイン棚レポート(購入店舗:成城石井)

成城石井アトレ秋葉原1店の棚です。上段は8,000円から13,700円が並ぶ一角で、その下にこの1本がありました。
| 銘柄名 | クラウディー ベイ ピノ・ノワール 2023 |
| 購入店舗 | 成城石井 アトレ秋葉原1店 |
| 購入価格 | 本体4,690円 / 税込5,159円(750ml) |
| 品種 | ピノ・ノワール |
| 産地 | ニュージーランド マールボロ |
| アルコール | 13.5% |
| 輸入者 | MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社 |
| 栓 | スクリューキャップ |
値札には「サクラアワード受賞ワイン」の表示がありました。売り場の説明文はこうです。
> クラウディベイ唯一の赤ワインは、濃厚なベリーやチェリーの風味に、濃密な骨格と滑らかなタンニンが深い味わいのピノノワールです。
「濃密な骨格」を覚えておいてください。 後で効いてきます。
2. 裏ラベルに書いてあること

裏ラベルに味わいの説明はありません。産地と度数だけです。
| 産地 | MARLBOROUGH(マールボロ) |
| ヴィンテージ | 2023 |
| アルコール | 13.5度 |
マールボロといえばソーヴィニヨン・ブランで知られる産地です。このサイトのワインDBには、同じマールボロのソーヴィニヨン・ブランがもう1本あります。 コストコで買った1,178円のカークランドシグネチャーです。
同じ産地で、4.4倍の価格差。 これも比較の材料になります。
3. 夫婦それぞれのテイスティング評価
| 評価者 | 評価 | 感想 |
|---|---|---|
| 夫 | ★★★★★(5 / 5) | ピノなのにガツンとくる。いつものデイリーワインのようにグビグビ飲むのではなく、チビチビ飲めるくらい濃い。肉の強い味にも全然負けない。香りもいい。 |
| 妻 | ★★★★★(5 / 5) | 久しぶりに果実味に高級感がある。深みがすごい。牛肉とよく合う。鼻に抜ける感じもいい。寒い日の温かい料理にちょうどいい。 |
2人とも★5。初めての満票です。
飲みながらの会話をそのまま引きます。
> 夫:すごいね、ピノなのにガツンとくる感じの
> 妻:深みがすごい
ピノ・ノワールは、一般に「繊細で軽やか」と説明される品種です。その予想を裏切ったことが、最初の驚きでした。 売り場が書いていた「濃密な骨格」は、誇張ではありませんでした。
「グビグビ飲めない」が褒め言葉になった
この日いちばん印象に残ったのは、この一言です。
> 夫:これあれだね、ガブガブ飲むっていうんじゃなくて、ほんとちょびちょび飲めるぐらい濃い
> 夫:逆に、いつものデイリーワインみたいにグビグビ飲めないね、これ
「飲めない」が否定ではなく評価として出てきました。
わが家のデイリーワインは、料理と一緒にどんどん進むものです。このピノはそうなりません。1杯を長く持たせて、口に含んで、また料理に戻る。飲み方そのものが変わりました。
4. 合わせた料理:トマトすき焼き

トマトすき焼き(わが家版)(調理時間 20 分)
材料
- 牛切り落とし 200〜300g
- トマト 小さめのもの5個(普通サイズなら3〜4個)
- 玉ねぎ 1個
- マッシュルーム 1パック
- しらたき お好みで
- にんにく 適量
- ローズマリー 1〜2本
- オリーブオイル 適量(鍋底に薄くひく程度)
- 【割り下】白ワイン+料理酒 合わせてカップ2(約400ml)
- 【割り下】醤油 大さじ3
- 【割り下】砂糖 大さじ2
作り方
- 鍋にオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火で香りを立てる。
- 玉ねぎを加えて炒める。
- 牛肉を1〜2枚だけ先に焼き、牛の脂を出す。
- 割り下(白ワイン+料理酒・醤油・砂糖)を注ぐ。
- トマト、マッシュルーム、残りの牛肉、しらたきを入れる。
- 煮込みすぎないように、蒸すようにして火を入れながら調整する。仕上げにローズマリーをのせる。
この日は寒い日でした。
> 妻:今日ほら、寒いしちょうどいい
> 妻:夏だとちょっとさ、温かい料理でゆっくりって感じじゃないもんね
元にしたレシピと、変えたところ
大橋みちこさんの「トマトすき焼き」を参考にしました。変えたのは4つです。
| 元のレシピ | わが家 | |
|---|---|---|
| 牛肉 | すき焼き用 | 切り落とし |
| きのこ | 舞茸 | マッシュルーム |
| ハーブ | バジル | ローズマリー |
| 梅干し | 1個 | 入れなかった |
| しらたき | なし | 足した |
| 割り下 | 市販でも手作りでも | 手作り |
梅干しを抜いた判断が、この日いちばんの分かれ目でした。
元レシピは、梅干しの役割をはっきり書いています。
> 割り下に梅干しを加えることで、酸味と塩気で味がぐっと引き締まります。トマトの水分で味が薄まってしまうことがありません。
つまり、意味があって入っているものです。 それを承知で外しました。
> 妻:レシピでさ、梅干し入れるとか書いてあったの。それちょっとビビって入れられなかった。入れない方が美味しいんじゃないかと思って
理由は子どもです。小学生が2人いるので、同じ鍋を食べます。 赤ワインを入れなかったのも、同じ理由です。
割り下は手作りです
| 白ワイン+料理酒 | 合わせてカップ2(約400ml) |
| 醤油 | 大さじ3 |
| 砂糖 | 大さじ2 |
元レシピは「市販のものでも手作りでも」としていますが、わが家は手作りです。みりんは入れていません。
白ワインを使ったのは、余っていたからです。料理酒に混ぜて使い切りました。料理のために買ったわけではありません。
結果はこうでした。
> 妻:トマトも優しいし
引き締めない方を選んで、優しい味になりました。 狙いどおりです。
牛肉が柔らかかった理由
> 夫:牛肉、柔らかいね
> 妻:柔らかいでしょ? 煮込みすぎないように、加減して蒸したりしながら調整しました
すき焼きなので、放っておけば肉は煮えます。火を入れきらないように途中で止めているのが、切り落としでも硬くならなかった理由です。
5. ペアリング検証:強い料理に、ピノが負けなかった
> 夫:これ、肉も強めの味だけど、全然負けないぐらい
> 妻:負けないよね
すき焼きの割り下は、砂糖と醤油の強い味です。そこにトマトの酸が乗る。軽いワインなら確実に消えます。
このピノは消えませんでした。「ピノなのにガツンとくる」という最初の印象が、そのまま相性の理由になっています。
ちなみに、参考にしたレシピのページはイタリアの赤を5本おすすめしていました。ニュージーランドのピノ・ノワールは入っていません。
それでも合いました。 このサイトではラベルの推奨どおりだった回も外れた回も書いてきましたが、今回は「推奨リストに無いものが合った」という3つ目のパターンでした。
6. 初めて「香り」の話が出ました
飲んでいる途中で、夫がこう言いました。
> 夫:香りもいい。あんまりこれまで感想に香りのこと書いてこなかった…
> 妻:鼻に抜ける感じもいいよね
気になって、これまでの記録を全部見直しました。
| ワイン | 感想に出てきた言葉 |
|---|---|
| エルチーボ(582円) | 酸味が強い |
| ハウメセラ(835円) | 苦味が残る |
| コドルニウ(868円) | 度数、飲みやすい |
| ラ・カラ(1,380円) | 軽い、酸味、キレ |
| カデ・ドック(1,408円) | フルーティ、さっぱり |
「香り」という言葉は、1度も出ていませんでした。
全部が味と口当たりの話です。香りに触れたのは、5,159円が初めてでした。
これは「安いワインに香りが無い」という話ではないと思います。香りについて語りたくなるほどの何かが、この1本にはあったということです。値段の差がどこに出るのかという問いに、わたしたち自身の記録が答えを出しました。
7. 5,159円と1,380円が、同じ★5でした
ただし、★だけを見ると話は単純ではありません。
| 価格 | 夫の★ | |
|---|---|---|
| ラ・カラ ヴェルメンティーノ | 1,380円 | ★5 |
| クラウディー ベイ ピノ・ノワール | 5,159円 | ★5 |
3.7倍の価格差が、★では埋まっていません。
理由は簡単で、褒めている中身が違うからです。
> ラ・カラ:すごく軽くて飲みやすい
> クラウディー ベイ:チビチビ飲めるくらい濃い
片方は軽さで満点、もう片方は濃さで満点。★という1つの数字が、正反対のものを同じ記号で表しています。
これは、わたしたちの記録の限界です。それでも★をつけ続けるのは、「また買うか」と並べれば意味が出るからです。どちらも「また買う:はい」でした。値段の話ではなく、家に置きたいかどうかの話になります。
8. 5,000円でもスクリューキャップでした
最後に、この日いちばん実用的だった発見です。
> 夫:蓋ができるからいいじゃん
> 妻:コルクじゃないのにね
> 夫:コルクだったら開けて終わりだけど
5,159円のワインが、スクリューキャップでした。
コルクは一度抜くと元に戻りません。スクリューキャップなら、飲みきれなくても締めて冷蔵庫に入れられます。高いワインほど「今日は1杯でやめる」がしやすい方がいいという、考えてみれば当たり前の話です。
保存についてはこちらの記事に詳しく書いています。
9. まとめ:基準ができました
| 夫 | ★5(また買う:はい) |
| 妻 | ★5 |
| 価格 | 税込5,159円(成城石井) |
| 合った料理 | トマトすき焼き |
5,159円は、わが家にとって毎週の1本ではありません。それでも「また買う」です。 寒い日に、温かくて味の強い料理を作る日に開ける1本として。
そしてこの1本が基準になりました。 次に1,000円台のワインを飲んだとき、「何が足りないか」を言葉にできるようになったと思います。
※20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。お酒は適量を楽しみましょう。


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