13年前のボルドーが、税込1,758円で棚に並んでいました。
2013年は、ボルドーでは評価の低い年として知られています。しかも専門家が示した飲み頃は、すでに6年前に終わっています。
それでも買ってみたのは、わたしたちが10年以上たったワインを一度も飲んだことがなかったからです。ワインDBでいちばん古いヴィンテージは、このワインです。

結論から言うと、夫婦とも★4。香りがよく、味わい深いワインでした。
1. 店頭のワイン棚レポート(購入店舗:オリンピック)

オリンピック三ノ輪店のボルドーの棚です。真ん中が今回の1本。左には2005年のボルドー、右にはサン・ジュリアン 2021(税込3,062円)が並んでいました。
| 銘柄名 | シャトー・カプ・ド・フォジェール 2013 |
| 購入店舗 | オリンピック 三ノ輪店 |
| 購入価格 | 本体1,599円 / 税込1,758円(750ml) |
| 品種 | メルロー/カベルネ・フラン/カベルネ・ソーヴィニヨン(※) |
| 産地 | フランス ボルドー カスティヨン・コート・ド・ボルドー(AOC) |
| アルコール | 13.5% |
| 輸入者 | 株式会社ダイセイワールド |
※ラベルに品種の記載はありません。海外のワイン情報サイト(The Wine Cellar Insider)に載っていた畑の植栽比率が、メルロー85%・カベルネ・フラン10%・カベルネ・ソーヴィニヨン5%です。ただし2013年の実際の配合は確認できていません。「メルロー主体」と言い切るのは控えます。
値札には「実力派シャトーが造るリッチなアロマと凝縮感が魅力」と書いてありました。
買ったとき、ラベルが少しだけ変色していました

ラベルの左側に、茶色いしみがあります。
これが中身の良し悪しを示すわけではありません。ただ、13年のあいだ、どこでどう置かれていたかは分かりません。液面の高さなど、状態の確認はしていません。 開けてみるまで分からない、というのが正直なところでした。
2. 裏ラベルに書いてあること

| 生産者 | SARL Château Cap de Faugères(ジロンド県 サント・コロンブ) |
| 産地呼称 | Castillon Côtes de Bordeaux(AOC) |
| ヴィンテージ | 2013 |
| アルコール | 13.5% |
| 瓶詰め | シャトーでの瓶詰め(Mis en bouteille au château) |
味わいの説明は書かれていません。 日本語ラベルには、産地と度数と添加物(酸化防止剤)だけです。
3. 2013年は、どんな年だったのか
調べて分かったことを、出典つきで書きます。
| 内容 | 出典 | |
|---|---|---|
| ヴィンテージ評価 | 左岸2/5、右岸2/5。赤ワインとしては数十年で最も難しい年 | Decanter |
| 当時の天候 | 春は冷たく湿って、開花がうまくいかなかった。収穫前の9月初めに熱と雨が重なり、腐敗が広がった | Bordeaux Index(2023年) |
| 評価 | 良いものでも長期熟成向きではなく、若いうちに楽しむタイプ。多くは10年もたないと予想されていた | 同上 |
そして、このワイン自体も評価されています。
| 内容 | |
|---|---|
| 評価点 | 83点(James Lawther MW、Decanter) |
| コメント | 例年より軽やかで密度が低い。酸が強く、後味に少し酸っぱさ |
| 示された飲み頃 | 2016〜2020年 |
注意点が2つあります。
- Bordeaux Indexの記事は、主に格付けシャトーを対象にした試飲会の報告です。このワインについて書かれたものではありません
- 83点は発売当時に、若いワインを試飲した評価です。13年後の状態を表す点数ではありません
つまり、わたしたちが開けたのは、飲み頃が終わってから6年後です。
4. 夫婦それぞれのテイスティング評価
| 評価者 | 評価 | 感想 |
|---|---|---|
| 夫 | ★★★★☆(4 / 5) | 色が紫じゃない。悪い意味じゃないけど、土っぽい。ウイスキーで言うオークに近いのかも。10年以上経ったワインを開ける機会はなかなかないので面白い。デイリーワインとは少し違う。癖になる。 |
| 妻 | ★★★★☆(4 / 5) | フルーティーというより、プルーンっぽい。イチジクやプルーンのような干し果実系。皮のつぶつぶが見えて、残る。後味が広がるときが美味しい。癖になる。 |
2人とも★4。リピートは「はい」。
注いだ直後の会話です。
> 妻:色が紫じゃない
> 夫:紫じゃないね、色

色について、あとから夫が教えてくれました。黒褐色のような感じで、紫ではなかったのが印象的だったので、グラスの写真を撮ったそうです。
飲んで、すぐに出た言葉です。
> 妻:フルーティーというより何なんだろう、これ。あの、プルーンっぽいっていうか
> 夫:うん。何だろう、土っぽい(笑)
> 夫:悪い意味じゃないけど、土っぽい
> 妻:ウイスキーで言ったら、なんかオークみたいな
> 夫:うん、そっちに近いんかもね
「フルーティー」ではなく、土と干した果物と樽。 若いワインの感想とは、言葉の向きが違いました。
別の記事で書いた「熟成由来の香り」は、土や干した果物のような香りとして表れるといわれます。夫も同じことを言っています。
> 夫:やっぱ10年経つと、いろいろ変わるんかね
> 妻:プルーンとかね、イチジクとかプルーンとか、そういう干し系の感じ
> 妻:これが熟成のあれなのかな
わたしたちの語彙で、熟成の香りを初めて言い当てたのだと思います。
皮のつぶつぶ
> 妻:このあの…粒みたいなのが見えるじゃん。皮、皮が
> 妻:すごいさ、あの、残るよね。皮が
> 夫:あ、でもなんか澱(おり)みたいなのが確かに下に溜まるね
グラスの底に、皮のような細かい粒が見えました。年数のたった赤ワインでは、澱が出ることがあります。注ぐときに、最後の1杯は少し残したほうがよさそうです。
デイリーワインとは違った
> 夫:なんか、そこら辺のワインと…デイリーワインとちょっと違う
> 妻:これデイリーワインなんでしょ? でも値段的に
> 夫:うん、1,700円
> 妻:でも美味しいんじゃない、これ。癖になるじゃん
> 妻:なんか後味が美味しくない? 広がる時
> 夫:なかなか10年以上経ったワインなんて開ける機会がないから、面白い
夫は、このワインをこう振り返っています。
> 外れ年だったかもしれませんが、すごく香りはよく味わい深いワインでした。ニューワールドのワインのような若々しさはない分、しっかりとした強い香りを感じました。
「軽やか」と「重い」
先ほどのDecanterのコメントは「例年より軽やかで密度が低い」でした。ところが、わが家はボディを「重い」と感じています。
食い違いの理由は、分かりません。評価者は「同じワインの別の年」と比べていて、わが家は「いつも飲んでいる1,000〜2,000円台のワイン」と比べている、という基準の違いかもしれません。ここは推測です。
5. 合わせた料理:牛モモのステーキ キウイときゅうりのソース

牛モモのステーキ キウイときゅうりのソース(調理時間 15 分)
材料
- 牛モモ肉(オーストラリア産) 1枚
- ゴールドキウイ 1個
- きゅうり 1本(種をとってみじん切り)
- オリーブオイル 大さじ1
- はちみつ 少々
- 塩・こしょう ひと振り
作り方
- 牛モモ肉を、肉だけでフライパンで焼く。1枚で数分。焼き加減はミディアムくらい。
- ゴールドキウイを小さな角切りにし、種をとってみじん切りにしたきゅうりと合わせる。オリーブオイル・はちみつ・塩こしょうで和えてソースにする。
- 焼いた肉をひと口大に切って皿に並べ、ソースを上からかける。漬け込みはしない。
オーストラリア産の、安い牛モモ肉です。
キウイで漬けると肉が柔らかくなると聞いて、ゴールドキウイを使ったそうです。ただし今回は漬けずに、焼いた肉の上にソースとしてかけただけです。
> 夫:肉はお肉だけで焼いて、モモ肉を
> 妻:上からかけただけ。ソースだもん、これ
> 妻:実際漬けると柔らかくなるらしい。今回しなかった
> 妻:私、ソースにしたかったから
感想は「柔らかくて美味しい」。子どもも食べやすい味でした。
1枚を数分焼いて、焼き加減はミディアムくらいです。
6. 検証:何が合ったのか
この日は、ほかにも料理がありました。

ホタテと洋梨のサラダです。夫の感想はこうでした。
> ワインとの相性は、ホタテのサラダよりもお肉のほうがあいました。
サラダが合わなかったわけではなく、比べると肉のほうが合ったということです。
もう1つ、妻が「プルーンのような」と言った香りには、ドライいちじくやドライブルーベリーのような、果実系のおつまみがマッチしたそうです。これは飲んだあとに夫から聞いた感想で、録音には入っていません。
| 料理 | 結果 |
|---|---|
| 牛モモのステーキ(キウイソース) | いちばん合った |
| ドライいちじく・ドライブルーベリー | マッチした |
| ホタテと洋梨のサラダ | 肉のほうが合った |
赤ワインと牛肉は、定番の組み合わせです。クネ クリアンサでも、ステーキにはよく合いました。古いボルドーでも、そこは変わりませんでした。
まとめ
| 夫 | ★4(また買う:はい) |
| 妻 | ★4 |
| 価格 | 税込1,758円(オリンピック) |
| ヴィンテージ | 2013年。評価の低い年で、示された飲み頃は2016〜2020年 |
| 専門家の評価 | 83点(発売当時、James Lawther MW) |
| 合った料理 | 牛肉のステーキ、干した果実のおつまみ |
| 香りの特徴 | プルーン、イチジク、土、オーク。色は黒褐色で、紫ではない |
外れ年と言われるヴィンテージでも、飲み頃をすぎても、1,758円で香りの強い、味わい深い1本でした。
ただし、これはわたしたちが開けた1本の話です。同じ2013年のボルドーが、すべてこうだとは限りません。ラベルの変色が示すように、保管の状態は1本ごとに違うはずです。
古いヴィンテージのワインは、当たり外れの幅が大きいと思います。それでも「10年以上たったワインを、家で開けてみる」経験は、感想に使う言葉を増やしてくれました。
※20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。お酒は適量を楽しみましょう。


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